Kneadのニット


内モンゴルの山岳地帯。無慈悲な自然は、
幼い山羊の頬をも凍らせる。

長い歴史をかけて育まれた
言葉では語り尽くせぬほど精緻で
芸術的な西欧の技巧が、
モンゴルからの旅人を美しく癒す。

旅人の頬を温かく濡らすのは、
そこに差し出された数多の手。

人々の暮らしの中
たゆまぬ努力と情熱で
こつこつと築き上げられ、
いつしか現実から切り離されて
まことしやかに語られる物語なのだ。

昔から器と着るものはどこの国にも必ずある 1


約15,000年前、
氷河期が終わるとともに縄文時代が始まる。
人々は土をこねて思い通りに形を作り、
火熱し化学変化を起こすことで
より強度な容器を手に入れた。
それにより調理や貯蔵が容易になり、
暮らしは大きく安定することとなる。

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昔から器と着るものはどこの国にも必ずある 2


粘土に触れると
実際に生きたことのない時代の
あるはずもない記憶を蘇らせ、
時間を旅しながら無心の安らぎを感じる。

何千年も前に生きた人たちと同じように
粘土をこね、ひとつひとつ作る。
つかの間、「今」がいつでもなくなる。

Cashmere

羊飼いという職業は最も古い職業のひとつで、
約5,000年前の現在のトルコが発祥である。
羊は、乳と肉と羊毛を得るため飼育された。
人々は毛皮で作った衣服と、
底が革でできた靴を身につけて
寒さに耐えながら暮らしていたことがわかっている。

Kneadのカシミアとは
イタリアの紡績メーカー
CARRIAGGI LANIFICIO S.P.A (カリアッジ社)
のカシミアで、
内モンゴルの特定の地域で厳選されたもの。
繊維を染色した後に混紡するため、
色鮮やかで奥深く、同時に非常に柔らかく、
軽いのにボリュームがある。
独特の温かさとしっとりと包み込むようなタッチは
他に類を見ない。

慣れ親しんでしまったものたち


近年、カシミアという素材は、
兎角その長い歴史や希少性ばかりが語られ
薄められた見せかけだけの
悶々としたスープの味そのものだ。
贅沢にそのものを味わう機会が乏しいばかりか
市場にそれらしいものが溢れることで
本来の輝きさえも遠く失われてしまった。

テクノロジーを駆使して生み出された
もこもこふわふわとした精巧な化学繊維が
軽やかに世を席巻したことは
かえってカシミアの新たな輝きを
初々しく野に放つために欠かせないスパイスとなった。
いよいよ、待ちに待った
新しい季節が始まる。
わたしは、溶岩の黒い色や
ざらざらとした手触りが
もっとボタンに現れるように何度も
ためしてみようと思う。
内モンゴルの山岳を生き抜く
生き物の息づかいと土の匂いが
袖を通すすべての人に届きますように。

作者

Lineup


Cardigan

mens / ladys
S / M / L
navy / beige / gray

Pullover

mens / ladys
S / M / L
navy / beige / gray

balaclava

1 size
navy / beige / gray

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